2016-01-01から1年間の記事一覧

温泉郷

温泉郷 二〇一六年一〇月二十三・二十四日 下呂温泉高高女子会 十河 智 京都よりさあ十月の女子の旅 整ひし八条口に秋の声 秋風のベンチ早々一人来る 秋の服しやきつと決めて快癒らし 肌寒きホームやのぞみ十六号 名古屋より岐阜それよりの秋の山 秋深し宿の…

私の生きたこの時代

私の生きたこの時代 十河 智 2016/10/23 ボブ・ディランのノーベル賞の文学賞授賞を聞いたとき、驚きよりも先に、いいのだろうかと疑問に感じた。 皆評価してはいるが、ノーベル賞などとはほど遠い、近寄りがたいジャンルだと、世界中のほとんどの人が感じて…

ダンサーズクラブ

ダンサーズクラブ 2016/09/01 記 今年もお盆当たりに生まれ故郷の高松に帰ることを実家の弟の嫁に連絡した。嫁が自身の近況を話しだした。嫁には、百才近い父親がいる。嫁の家は両親がお誂えの洋装店を生業としていた。嫁も、結婚後も手伝い、もう、中心とな…

剪滅

剪滅 2016年夏 (調べてみると、本来の熊蜂もあるらしいが、ここでいう熊蜂は、私達が普通クマンバチと言っているスズメバチの類のクロスズメバチのことである。) 孫達がやってきた。駐車場に車を着けて、まず孫達が降りる。「おじいちゃん、おばあちゃ…

ホライゾンタル北海道

ホライゾンタル北海道 北海道旅行 ( 1995/8/1~4 ) 十河 智 一 御巣鷹や搭乗客なる夏の果て 夏飛行氷白世界緊迫す 天の裏また雲の峰突き進む 雲表や紀伊鳥瞰の夏の国 着陸の減速感に北涼し 初めてのカーナビゲーション驟雨中 二 クマゲラや樺の白…

尾崎豊

尾崎 豊 2016/07/19 十河 智 スマホの画面に“尾崎裕哉”、覚えのある名前が芸能ニュースの見出しで出た。どうも全くチェックしていなかった音楽の日の生特番で歌ったようだ。彼の歌は、大学を出た直後にも、一度でた番組で歌うのを聞いた。尾崎豊の生き写しで…

すももの木の物語

すももの木の物語 2016/07/15 一 結婚、家の始まり 私達が結婚した頃は、女子大生亡国論なるものが言われ、女の子の進学率が上がりかけた頃、結婚までの腰掛け的就職が普通であった頃である。私も25才になると、周囲に急かされるようにお見合いをした。職…

進化する殺虫剤

進化する殺虫剤 十河 智 もう築40年以上のわが家では、害虫に悩まされる。まずゴキブリ、多くはないが、いつの間にか飛んでくる。今は、たぶん家の中で卵が潜んでいる。幼虫を見かけることが増えたのだ。次に蜘蛛、庭にも巣を張り、私が引っかかる。家の中…

白夜

白夜 同窓生をベルギーに送る 1998年6月27日 十河 智 輪になれば芯に楠若葉かな 他愛なき夢語り来し葛青葉 ぎんなんの艶ある緑皮剝けば カン高き声ぎんなん拾ひ始まりぬ 大楠や片蔭に入り物思ひ 年を経し銀杏若葉の御堂筋 同窓に異夢を見てゐし銀杏散…

紅葉かつ散る

紅葉かつ散る 京都、一乗寺修学院辺りにて 1995年11月 十河 智 一 黃落 黃落や曲がり角つひ見過ごしぬ 落ち葉積む白河通り轢きて良し 延々と朽ち葉の並木厭ひつつ 二 紅葉かつ散る 気に入りは銘々にあり野の紅葉 苔青く襲の色に散る紅葉 名刹を避けて…

老境

老境 十河 智 二〇一六年六月四日・五日 京都大学薬学部昭和四四年卒 同窓会 くに荘にて 一 準備 夏来る回を重ねし準備会 京都中尋ねて歩きはや夏に 汗拭ひ取材する友映し込み あぢさゐの咲く三室戸寺去年のこと 画伯の絵付けて暦は五月から 二 受付 入梅(…

風青し

(二〇一六年五月一五日・一六日 高野温泉福智院宿泊) 風青し 十河 智 一 高野山道程遠く来て卯月 夏の山曾ては女人結界地 二 青嶺高く重なるところ高野バス 若葉風杉と楓と高野槙 御堂より出で夏の天めざす龍 古池や蛙の声に誘はれて 高野槙緑陰にある赤き…

「悪党芭蕉」「季語を生きる」「芸人と俳人」 読み応えあり

「悪党芭蕉」「季語を生きる」「芸人と俳人」 -----読み応えあり----- 十河 智 最近の読書は、もっぱら電車の中であり、喫茶店である。この頃は特急に乗り換えたりしない。各駅停車で乗り換え無くゆっくりと、神戸へも、京都にも行く。優先座席で…

失せ物探し

失せ物探し (春休み大事件) 2016/4月 十河 智 娘から連絡があった。春休みは子供二人と自分、母子だけで来ると。忙しいので二泊のみ、静岡へ来るときには、運転を引き受けるから、一緒に帰る予定でという。いつものことだが慌ただしい。小学生になっ…

熊本・大分大地震2016

熊本・大分大地震2016 十河 智 2016年4月14日夜から翌翌朝未明にかけて、熊本県に大地震が起きた。私は、いつものごとく、スマホでフェイスブックを見ていたが、次次と地震速報が続いた。寝屋川では、何も感じず、大地震という実感は薄かった。そ…

花見酒———吉野行

花見酒 ——— 吉野行 ( 2016/4/10 ~ 11 ) 十河 智 メールひとつ吉野で花見しませんか 花の雨吉野へ行く日あと二日 吉野行リュックで身軽花の昼 癒えし友駅のホームに花衣 あと一人誘ふや共に桜人 谷底のバス操車場山桜 春水を帯びて危ふし急階段…

「洛神戸句会」解散、句会報「洛」終刊

「洛神戸句会」解散、句会報「洛」終刊、そしてお別れ 2016/4/2 十河 智 2016年3月27日、いつもの第4日曜日と同じく、私はJR学研都市線東寝屋川駅から神戸線三ノ宮駅へ乗り換えなしの普通に乗っていた。この日、およそ6年続いた「洛神戸句会」…

つれづれの俳句 Ⅱ

つれづれの俳句 Ⅱ 1996年頃 十河 智 一 友の父母 ~御世話を掛けた友人のお母様のこと 霧走り二十歳の頃の出町かな 硝子戸に「はつたい粉あり」そを開けて 友の父母居ます茶の間に夕端居 うどんだし講ぜられしや夏の服 文庫本手にし給ひて居待月 握り飯…

つれづれの俳句 Ⅰ

つれづれの俳句 Ⅰ 1995年頃 十河 智 一 夏薊 夏薊そを活く清雅に惹かれけり 馥郁と乳の香のありき夏の部屋 まず一つ白髪の話缶ジュース 秋口に会ひたき人に会ふ刹那 囲碁すると秋めく頃の思ひつき 秋天にその名放ちて鳴門去る 二 鳴門・佐那河内・徳島 …

寒々と

(五十才前後、夫は単身赴任で、甲府に。娘は神戸で下宿生活。そんな暮らしの記録である。) 寒々と 十河智 遠きかなまた始めから炭を継ぐ 我の意志突如熾りて炭撥ねる 早々と一人子抜けぬ冬の景 冬銀河行きつ戻りつ思案して 我儘を攻むばかりなり冬朝日 破…

風なりに

( 大分前のものであるが、まだ三〇代の、キャリアを諦め、悶々としていた時期の記録である。) 風なりに 十河 智 妻は主婦男言ひ切り遠花火 過去の今天秤揺れてifの夏 一笑に姓を捨てさす冷やし瓜 柿若葉溌剌痛きまで青し 活けらるるかほど挫けて柿若葉 一…

HAIKUs in English 英語俳句集

HAIKUs in English Tomoko Sogo 英語俳句集 十河智 Ⅰ Cicadas 1 蝉 A cicada leaped to my eyes Quiescence suddenly changed to noisiness 静寂がひたと反転蝉飛びぬ A pair of cicada's alea in a drift; Evidance of life was swept off 一対の蝉羽掃け…