2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

涙ーーーNY

涙ーーーNY 9・11同時多発テロ事件 十河 智 南瓜を煮て崩しけり大事件 ホウセンカはうりだされし空の果 長き夜煙の形火の形 まさか摩天楼が陥ちてゆく天高し レモン切るしづくが痛しニューヨーク 仏手柑や星条旗そしてアメリカ 蘭の花百十階の夢の跡 い…

富士見会

富士見会 十河 智 二〇〇二年一一月一六・一七日 冠雪ややさしき富士に内なる火 朝晴れし富士に恥じらふ石蕗の花 冬霞頂淡く富士は高し 放牧の牛の背富士の大枯野 はつきりと牛の白黒枯るる中 裾野引く富士見る窓や冬日和 番犬は規律正しく冬館 宿の子の年数…

津軽三味線

津軽三味線 十河 智 コンサート苦労なきかにショール解く じょんがらやバーチャルリアルの冬空へ 犬皮の津軽三味線冬の百舌 白足袋の兄弟若し辛さうに 太棹に恨み響かず寒暮かな セッションといふは易けれ大枯野 雪などは降らじアフリカ太鼓なる 胡弓の音凍…

竹の花

竹の花 十河 智 浜名湖や風は色なき夕まぐれ 秋寒し湖面孤独を切り遊ぶ 初紅葉今宵の宿に着きにけり 登高す富士見はならぬ雨衣 水澄むや風力に拠る一基かな 爽やかに一瀑を受け鯉泳ぐ 勤行の古刹にありて竹の花 遠州公置きし石庭寒露かな 僧幾多瞑想ありし座…

春の波    知多への旅

春の波 知多への旅 十河 智 平成十一年三月二十日、二十一日 春服のモガのごとくに京都駅 春朧躓き当たり二人旅 名鉄の終着駅へ春寒し 春雨に濡れつつ港町歩く 河和港春ストーブが嬉しかり 春場所を観て立ち上がり係員 春潮に乗り辿り着く日間賀島 春寒や出…

月桂冠   中書島、そして祇園へ

月桂冠 中書島、そして祇園へ 十河 智 平成十三年十一月二十三日 冬枯れや岸行く人のスニーカー 十一月十石舟に揺られけり 恋心忘れ果てにし枇杷の花 やはらかき波にうねりの小春かな 黄落や絵筆持つ人話す人 夜鷹そば大川交す中書島 酒の粕月桂冠に歴史あり…

ほたる

ほたる 十河 智 蛍追ふ小さき背中や帯の赤 肩車ゆらりゆらりと蛍かな ひいふうみい蛍数へて覚へけり ほうほうとうちは掲げて駈け抜けて 墓標消え蛍の夜となりにけり 蛍火をひとつ掬ひてまた放つ 叢の深き処に蛍の灯 皆濡らす壺庭にあり蛍籠 暗闇を待たうと思…

崖のすすき   佐渡へ

崖のすすき 佐渡へ 十河 智 平成一四年九月二三日 フルムーン旅の夜汽車に揺れながら 朝冷えの夜汽車の窓や糸魚川 港町直江津秋の朝である いざ佐渡へ台風近きと聞きながら 秋彼岸海の国道ありにけり うそ寒や我らの発す大阪弁 味噌を湯で溶かすみそ汁朝寒く…

花過ぎて   美山町散策 ・・・・・萱葺きの屋根と桜があれば

花過ぎて 美山町散策 ・・・・・萱葺きの屋根と桜があれば 十河 智 平成一四年四月八日 山里の春の光や美山なる 野に遊ぶゆっくり動く耕運機 萱葺きの家の裏手の菫かな 古里語る顔の憂ひや花過ぎて 豆の花刺身のつまに美山町 観桜と定めしゆゑの回り道 比賀…

花見舟  A boat for cherry-blossom viewing

花見舟 A boat for cherry-blossom viewing 平成十六年四月一七日 十河 智 花衣湊町より舟にのる Dressed for cherry-blossom viewing, boarding on a boat for cherry-blossom viewing and departing from Minatomachi-port 落語家の背高きいっそう長閑 He…

雨を遊ぶ

雨を遊ぶ 知恩院から阿吽坊 平成十五年十一月二九日 十河 智 顔見せの招きや雨の降りしきる 冬浅き祇園のひとの雨の下駄 冬の灯や雨を遊びて祇園まで やはらかき冬の雨降る待ち合はせ 零余子まづ祇園の味と成しにけり 紫蘇の穂やうまき刺身の京料理 風呂吹き…

花の色なる

花の色なる 湖北・海津大崎花見の会 二〇〇五年四月一六日~一七日 十河 智 どつしりと湖北固しや暮れかぬる 満々と花の色なる余呉湖かな 春光や余呉湖の護り賤ヶ岳 お市御寮人 踏青や美し御方奪ひ合ひ 朝明けの湖畔やつくし一握り はかまむくひとときつく…

桜若葉―吉野

桜若葉―吉野 平成十六年四月一八日 十河 智 花衣なれば華ある色をもて 奥千本花散るばかり吉野かな 若葉風眺めの色を塗り替えて 若葉しも吉野の桜その下で 行き会ひし晶子の歌に花月夜 本当に「花は最後」の日曜日 気兼ねなし歩き疲れの汗が良し 西行のぺん…

実むらさき

実むらさき 同窓会髪を染めける秋日和 鰯雲リバーサイドホテルへと 菊の賀に競ふ衣装や姫人形 光君舞ふ姿置く秋の色 秋晴るるいざ清水へ繰りださむ 現世ぞ紅葉に早き成就院 こぼれ萩その色一つ古寺の庭 松手入れ待たるる鶴と言ひがたく 東山連峰を背に天高し…

初桜

初桜 平成一二年三月一八・一九日 春日輪落ち入る様を見尽くしぬ 百年の橋七色に春灯し 朧夜や物語する三人女 ひたぶるに松波低し春の海 若芝や明治は遠くりりしげに 花博の初日に合はせもの芽かな 駒返る草よ始まり始まりと 空調の下ひともとの初桜 春愁や…

恋せしは 歌手 ー 戸川昌子の老い

恋せしは 歌手 ー 戸川昌子の老い 平成十三年三月十七日 十河 智 鳥二羽の世間話を春なかば 恋せしは昔々や春の夢 春昼やその歌手の老いをかしげに このやうに老いよとはいふ雪解かな ぶらんこや背を押すバックミュージシャン 終焉の渋谷とならむ春愁

阪神大震災 1995.1.17 未明のこと

阪神大震災 1995.1.17 未明のこと 十河 智 一 醒まされて …大阪… 醒まされて冬曙や震度四 二度三度揺れ潜り行き深蒲団 テレビへと朝の冷気を切り急ぎ 冬映す画面に一行地震あり 冬茜震源知らぬ不気味かな 蒲団撥ぬ震源淡路子に近き 大地震その隅な…

昔の話ばかりして

俳句六句 昔の話ばかりして "Those are the days." 十河 智 薄衣を羽織り集ひぬ老い来たる An assembly of the old was there , ladies dressed in sheer were there. スピーチに英語を交え夏料理 A speech in Japanese & English. I got you,as I did in th…