春の波    知多への旅

春の波       知多への旅

     十河 智 
     平成十一年三月二十日、二十一日  

春服のモガのごとくに京都駅
春朧躓き当たり二人旅
名鉄の終着駅へ春寒し
春雨に濡れつつ港町歩く
河和港春ストーブが嬉しかり
春場所を観て立ち上がり係員
春潮に乗り辿り着く日間賀島
春寒や出迎え人の呼ばはりて
水温む竜宮の宴さもあらむ
遍路道知多にも四国巡りあり
春雨や天地漠々日間賀島
共白髪にて佇める春の波
白子干今は旅人旅の膳
供養して後の旅立ち彼岸かな
ディベイトはアファーマティブサイド春蜜柑
寝入り端十人十色に春の闇        
陶工に栄枯 盛衰花なずな
土管ひび入りて良しなりプリムラ
ちぐはぐも時代の軌跡春の坂
金輪際焼物の町春の泥
春楽し帽子一つを巡らして
春の夢蘭とガラスとタイルの館
亀泣くや人の内側偉大なり
再会を約して白き春コート
逃げ水や雑踏に消え京都駅