2015-06-28から1日間の記事一覧

涙ーーーNY

涙ーーーNY 9・11同時多発テロ事件 十河 智 南瓜を煮て崩しけり大事件 ホウセンカはうりだされし空の果 長き夜煙の形火の形 まさか摩天楼が陥ちてゆく天高し レモン切るしづくが痛しニューヨーク 仏手柑や星条旗そしてアメリカ 蘭の花百十階の夢の跡 い…

富士見会

富士見会 十河 智 二〇〇二年一一月一六・一七日 冠雪ややさしき富士に内なる火 朝晴れし富士に恥じらふ石蕗の花 冬霞頂淡く富士は高し 放牧の牛の背富士の大枯野 はつきりと牛の白黒枯るる中 裾野引く富士見る窓や冬日和 番犬は規律正しく冬館 宿の子の年数…

津軽三味線

津軽三味線 十河 智 コンサート苦労なきかにショール解く じょんがらやバーチャルリアルの冬空へ 犬皮の津軽三味線冬の百舌 白足袋の兄弟若し辛さうに 太棹に恨み響かず寒暮かな セッションといふは易けれ大枯野 雪などは降らじアフリカ太鼓なる 胡弓の音凍…

竹の花

竹の花 十河 智 浜名湖や風は色なき夕まぐれ 秋寒し湖面孤独を切り遊ぶ 初紅葉今宵の宿に着きにけり 登高す富士見はならぬ雨衣 水澄むや風力に拠る一基かな 爽やかに一瀑を受け鯉泳ぐ 勤行の古刹にありて竹の花 遠州公置きし石庭寒露かな 僧幾多瞑想ありし座…

春の波    知多への旅

春の波 知多への旅 十河 智 平成十一年三月二十日、二十一日 春服のモガのごとくに京都駅 春朧躓き当たり二人旅 名鉄の終着駅へ春寒し 春雨に濡れつつ港町歩く 河和港春ストーブが嬉しかり 春場所を観て立ち上がり係員 春潮に乗り辿り着く日間賀島 春寒や出…

月桂冠   中書島、そして祇園へ

月桂冠 中書島、そして祇園へ 十河 智 平成十三年十一月二十三日 冬枯れや岸行く人のスニーカー 十一月十石舟に揺られけり 恋心忘れ果てにし枇杷の花 やはらかき波にうねりの小春かな 黄落や絵筆持つ人話す人 夜鷹そば大川交す中書島 酒の粕月桂冠に歴史あり…

ほたる

ほたる 十河 智 蛍追ふ小さき背中や帯の赤 肩車ゆらりゆらりと蛍かな ひいふうみい蛍数へて覚へけり ほうほうとうちは掲げて駈け抜けて 墓標消え蛍の夜となりにけり 蛍火をひとつ掬ひてまた放つ 叢の深き処に蛍の灯 皆濡らす壺庭にあり蛍籠 暗闇を待たうと思…

崖のすすき   佐渡へ

崖のすすき 佐渡へ 十河 智 平成一四年九月二三日 フルムーン旅の夜汽車に揺れながら 朝冷えの夜汽車の窓や糸魚川 港町直江津秋の朝である いざ佐渡へ台風近きと聞きながら 秋彼岸海の国道ありにけり うそ寒や我らの発す大阪弁 味噌を湯で溶かすみそ汁朝寒く…

花過ぎて   美山町散策 ・・・・・萱葺きの屋根と桜があれば

花過ぎて 美山町散策 ・・・・・萱葺きの屋根と桜があれば 十河 智 平成一四年四月八日 山里の春の光や美山なる 野に遊ぶゆっくり動く耕運機 萱葺きの家の裏手の菫かな 古里語る顔の憂ひや花過ぎて 豆の花刺身のつまに美山町 観桜と定めしゆゑの回り道 比賀…