静岡県藤枝市の紅葉と鰻屋

静岡県藤枝市の紅葉と鰻屋
        2019/01/26
        十河智

 静岡滞在中、折角だから紅葉狩をと、娘に提案。子供たちが学校から帰るまでと条件付きで、行ける場所を探してくれました。「行ったことはないけど、滝の谷不動峡の紅葉まつりもあるところだから。」
 10時頃、出発して、藤枝方面へ。娘が普段運転する大きいワゴン車で出掛けました。前に孫と行った蓮華寺池公園を通過、さらに山の方へ、車の備え付けのナビではなく、スマホをうまく固定して、Googleナビに音声案内させています。地図が新しいので、便利なんだそうです。厳密には法令違反なのかどうか気になりましたが、順調にドライブできました。山の中へ入るとカーブが続き、大きい車大丈夫かなと、心配になりました。だんだんに紅葉が濃くなります。川に沿った細い道です。10分程そういう道が続くと、少し広いバスも停まれるような駐車場があります。ベンチや閉まってはいますが店もあり、紅葉まつりの旗が数本はためいていて、つい最近の土、日にあったらしい賑わいを感じさせています。ここは、神社や橋、峠、山の尾根等を含むハイキングコースの一部で、藤枝市のホームページに紹介しています。力に応じて、コースが設定されていて、そんな服装の人達も行き交います。紅葉まつりというだけあって、楓紅葉が、とてもきれいです。川原と石のモニュメント、水車小屋など、そぞろ歩きのみでしたが、満喫しました。陽射しに映えた紅葉と川のせせらぎ。石がおもしろい。山の斜面が人の手が入り、花を植えられています。ところどころに山茶花が伸び放題の大木になっています。
 お昼を私の希望で、また娘がスマホを検索、地元なので予備知識はあり、外れることはないと思いますが、便利な道具です、スマホは。
 一推しのところは休業。私はよく休業日に現地に行きがっかりしますが、そんなことをしないですね、若い者は。
 二推しのところへ予約、そこは人気で、注文を受けてから捌くので、予約して行く間にできるから、すぐに食べられるというのです。町へ戻り、今度は市街地を流れる整備された川沿いを走ります。分かりにくい斜めに入る道をスッと曲がり、園芸店の角の細道を進み、普通の家風のところの駐車場にいれました。お店の裏側のようです。角の園芸店は、うちのガーデニングと塀を頼んだ業者で来たことがある、といいます。評判は聞いていたがここのうなぎは初めてとも。
 「まるはんへそまがり」
 戸を開けて中は、一組客がいるくらい。炭火の炉がカウンターに沿っていて、鉢巻きをした店主が顔を覗かせていました。いらっしゃいはありません。従業員がでてきて、奥の部屋に案内されました。一種類なので、メニューもなく、待っていると鰻と肝吸い、これも評判のおつけもの。
 部屋の障子や箸包みに店主の似顔絵らしき絵と「へそまがり」の文字、面白いが、美味しい。全て予約のためか、帰り頃には賑やかな一団も来ていた。売り切れで、その日の営業は終了するようだ。
 娘と3人で、こうして、飛びきりのご馳走を食べた記憶はいつまでも懐かしい。大学卒業の後、いつもはいかないような高級ホテルのフレンチ、結婚前の最後の家族旅行の蟹尽くし(これで私の蟹アレルギーが固定という付録つき)、この日はそんな記念日ではないが、何年ぶりかの三人旅の気分を味わった。

おとななる親子三人紅葉狩
曲がり道もうひとつゆく谷紅葉
紅葉川辿りゆきけり水車小屋
山茶花やはらはらはらりおちてゐる
ハイキングコースの社秋の声
秋日影水の煌めき水の音
小鳥来る大岩まるでコツぺパン

紅葉山ここで繋がるスマートフォン

冬初め恥ぢらふ色のコキアかな
冬の街コキアの赤が愛でられて
鰻屋は角を斜めに冬の川
秋団扇鰻と炭の匂ひくる
秋寒の小部屋の障子墨の色
へそまがり親爺冷まじ声出さじ
鰻屋は美味きが全て暮の秋