句帖を拾ふ(2017年11月)

句帖を拾ふ(2017年11月)
   2017/10/24
十河智(Tomoko )

1
金木犀  
fragrant olive

金砂子雨に零れて金木犀
sand of gold on the ground;
fragrant olive is wet in rain

金木犀の香りも散りてゆく雨や
fragrance is gradually disappearing;
the rain scatters fragrant olive bloom

門前にきんもくせいの花の屑
thick in every front of gate;
scraps of fragrant olive bloom

2
桐一葉壊れさうなるクール・ジャパン
株売りて後の急騰柿熟す
天高し不気味に鳥の声高し

世の中、どうなっているのでしょうか。心配です。

3
水澄むや水甘きこの国に住む 
Clear autumn water ;
The country water tastes sweat , I live in

テレビの番組で日本に住む外国の女の子が日本で一番美味しいもの水と言ってました。

4
立冬です。秋十月の句帖から拾いました。台風禍、秋晴れの下、虫のころ、秋草、月見、思い出しています。

草紅葉iPhone新規設定中
台風も何ぞや駅に喫茶店
ドライブのいつもの道の台風禍
故郷も稀の台風直撃と
釣瓶落としスマホをいじる人の影
コオロギや地より世界の拓かれて
えのころ草可愛く占拠する花壇
アレチノギクひときは高く前庭に
こすもすの花壇部活の中学校
萩咲くやサキソホーンの練習中
堤防の下の迷路や彼岸花
行き合ふに待避処のあり穴惑
秋出水想定内の避難地図
釣瓶落とし一日一回外に出で
荒くるる雲真っ直ぐに秋夕日
珈琲のおかわりをして秋入り日
待ち受けに月カレンダーけふ上弦
天高しこちらへ向かふ郵便車
秋光にバイクを揺らし郵便夫
高き天パラボラアンテナ避雷針
秋簾車の行方追ひて暫し
いちじくのパサパサ甘くなくハズレ
天高し雨の名残の雲がまだ
待宵や明日を信じきりてをり
小望月老いを疑ふ歪みやう
食卓に月見団子や雲架かる
待宵や雲合い見つつ日を過ごし
爽やかなドライブ日和京へ行く
爽籟や葉を振るはれてけやきの木
色なき風木々のざわめく北山通
秋晴の静原京都バスが行く
奥山の新開地なり秋うらら
大学も住宅もあり秋の昼
トンネルで繋がる地と地月見月
満月や街の灯丸く続く坂
立待の今宵の雨を許しけり
秋雨やお届け物の多き日に
月見団子郷に入りてはこの形
松虫にあれ松虫と歌ふかな
鴨川に大鷺丸く点点と
秋曇東京へ行く服バツ
秋寒し旅先天気予報雨
秋の灯の夜景病院最上階
そぞろ寒救急入り口救急車