御在所岳ロープウエイに再び

御在所岳ロープウエイに再び
        2019/01/24
        十河智
[書くことが多く、後に回していました。あまり季節がずれないうちに。]その5
もうすぐ春、十一月のことをやっと書き終ります。

 静岡からの帰路に三重、岐阜の鄙びた温泉で一泊して帰ることが、定例になりつつあります。そんなに贅沢はできないですが、ドライブがてら行ける宿が載っている旅の会誌から、この度は、御在所岳麓の湯の山温泉に寄ることにしました。
 高速道路上に御在所PA があり、よく眺めている山です。この温泉は、前に高校の同窓女子会で、近鉄電車を乗り継いで、行ったこともあります。ロープウエイがかなり急勾配で、谷が深く、山頂の眺望も遠く琵琶湖や富士も天気がよいと見えたりするところです。
 四日市インターを降りて、しばらくすると、湯の山温泉へ一直線の道路に出ます。途中は工業地帯の端っこから郊外の田んぼの中の住宅地、そんな少し開発されかかった田舎の風景が続きます。
 途中、車の入りやすい大きなコーヒーショップを見つけ、運転手を休ませました。そこにはありがたいことに電源もあって、スマホの充電も可能でした。工業地帯の端っこ、仕事の合間の客も多いのでしょうか?
 予約しておいた宿から届いたファックスの手書きの地図は、山に入ってからがわかりにくく、心配になりましたが、なんとか辿り着くことができました。
 川沿いの谷あいを利用して建てられた、玄関ロビーが五階という、温泉旅館によくある建物です。今の天皇が皇太子時代に止まられたらしく、侍従の和歌など記念に残っていました。着くまでの道筋には、古い温泉地には、例えば伊豆修善寺でもそうでしたが、古くなって使わなくなった建物がそのまま放置されていて、葛に埋もれていても、あまり見良いものではありません。ちょうどよい具合の紅葉の中にたまに廃屋が邪魔をするのです。地域として何とかすればいいのに、と思います。大浴場、客室からの眺めがいくらよくても興ざめでした。
 翌日は、御在所岳ロープウエイに乗り、山頂へ。登り口際に、前に宿とした旅館があり、その時の楽しい思い出を甦らせていました。何年か前でも今よりは元気だったなあと。
 山頂駅では、スロープのあるところへ案内してもらい、ゆっくりと展望台まで歩いていきました。寒い日でした。
 帰りはスロープを元に戻るのはかえって大変なので急な石段を降りて駅へ行くことにしました。対行して登ってくる人達も、かなりの歳の団体で、きつそうに、途中で止まり、はあはあしています。コースだからといって、無理をさせてはいけないなあと思いながら、行き違いました。駅の建物のレストランで昼食。
 駐車場へ向かっている途中に、登山用具を置くショップがあり、そこにはロープウエイをスタンプラリーする企画のポスターが張っています。日本全国にここと同じような登山もロープウエイも楽しむ八山を指定する、かなりお金のかかるスタンプラリーです。そういえばさっきスタンプ押していたなあ、とか思いだしていました。

その後、順調に、明るいうちに帰宅しました。

一直線冬の湯の山温泉
谷紅葉宿のロビーは五階なり
廃屋と新館列び山装ふ
晴れやかに彩として蔦紅葉
まだ青き実のぶらさがりさねかづら
冬木桜の芽歌に残れる行幸
紅葉谷深きやロープウエイ行く
御在所岳十一月のロープウエイ
ロープウエイスタンプラリー冬ぬくし
スロープへ案内と裏冷たかり
山頂に喘息発作めき眺望
発券はどこも自動化冷ゆるかな
鵙鳴くや琵琶湖を望む展望台
ありがたき手摺ここにも苔の花
駐車場落葉払ひて出でにけり