五月晴れの日曜日、歩く、歩く。

五月晴れの日曜日、歩く、歩く。
       2017/5/27
       十河智

昨日はとても良い天気、これぞ五月晴れっていう感じでした。主人の小学校から高校までの同窓生の招待状で、北浜の大阪美術クラブでの書展に出かけました。五月晴れが誘うので、中の島バラ園を散策しつつ、天満橋まで公園内を歩くことにしました。
 書展は仮名書の社中展で、和歌、短歌、俳句が書かれたものが多いのですが、解説書きは一部しかなく、私も習っているのですが、読むのはなかなか難しいです。もとの俳句など思い出しつつ、辿って見たりしましたが、早々に諦めて、眼は、随所に配置された生花の方へ向きました。多分その道の名人が生けたであろうお花が、季節を会場に取り入れ、書の墨の色を引き立てているのです。毎年この書展に来たくなるのは、この生花にも惹かれているからかもしれません。
 子規の俳句の部屋があって、そこを鑑賞していると、同じく招待状で毎年来ているという主人の同学年の友人が声を掛けてくれました。私も後輩、話の輪に入って、談笑していると、社中の勉強会でもあるらしく、優秀作の鑑賞と説明をしている人たちの中のお一人が、もっと声を低く、と注意しにこられました。少し恥ずかしい思いで、その友人とはお別れし、またそれぞれに順路に戻っていきました。高校時代から半世紀以上、たまたま出会える距離に住んで、老後を送っている。こういう機会が、楽しみになりました。
 中の島バラ園に向かう途中、お目当ての橋のたもとのカフェも、テラスのあるイタリアンの店も北浜はビジネス街、日曜日は休業でした。入り口がわからずにタクシーに乗ってしまい、橋一つ渡ったところで降ろされました。中の島なんだから橋は二つ、直ぐにタクシーは愚の骨頂でした。橋の上でも薔薇が香ってきました。薔薇園です。ただ一つ営業中のレストランは大混雑、まず、順番待ちに名を書き込み、テイクアウトの飲み物で水分補給、意外と早く呼ばれて昼食、ランチプレート1000円とカレーライス900円ですが、バイトばかりの店員が、右往左往、頼んでないものが来たり、水はありません、と断られたり。そんな馬鹿なという応対ばかり。会計のとき、用心しなければと、飲み物はテイクアウトで支払い済みと念押ししたのですが、えぇっと驚く請求書、3800円也、どこからこんな数字が出たのか、今もってわかりませんが、料理二つ分だけと、突き返して、次は、2900円、飲み物分が入っています。主人が怒り出すと厄介なので、店長に私が掛け合います。こんな簡単な足算、計算機やレジスター要らないでしょ!‼やっとレストランを出ました。
 薔薇園には写真を撮る人が多く、花に一つ一つカメラを近づけ、腰を低くしています。薔薇の前に連れを立たせるカップルに老いも若きもおり、親切な人が二人を並ばせてシャッター係を申し出たり、適当な混み具合、適当な花の咲き具合でした。真ん中の橋を渡ると芝生の公園、急に自転車や子供連れが多くなりました。そして中の島の端っこでは、もうサーフィン。裸の人がまばゆい限りでした。スロープを登って天満橋へあと少し。葉桜に、いろんな鳥が隠れているのです。ひょんと飛び出してきます。鳥の名前はあまりわからないのですが、白いギョロ目の黒い体の鳩くらいの鳥がおもしろかった。千鳥?と思って、調べてみましたが、わかりませんでした。
やっと天満橋、モールに入って、エアコンの中、電車に乗りました。

新緑を端々に置き書道展
ひとつずつ辿って読むや緋の牡丹
私など手習い程度汗流る
子規の句を前に俳人呂の着物
小学校以来の友や籐の椅子
夏座敷つひ声高を叱られぬ

薔薇咲くや橋の下より匂い立つ
新緑や川に突き出るテラスにて
手を振れば遊覧船で手が振られ
中の島バラ園黄色の船がゆく
忙しさ故か頼まぬジンジャーエール
にこやかに薔薇咲く前でポーズして
薔薇あまた幸せさうに咲きにけり
オキザリス芝にピンクが誇らしげ
薔薇咲きて被写体として納まりぬ
薔薇の園ばらぞの橋の向こう側
川風の緑蔭昼餉する家族
素裸の背中大阪中の島
青芝に父と遊ぶ子ボール蹴る
葉桜に影を貰ひて座りけり
夏の日の日曜休む中の島
葉桜や天満橋駅の字光る