学校薬剤師研修会と「ついで吟行」

学校薬剤師研修会と「ついで吟行」
        2018/06/25
        十河智

 夏休み前になると、学校関係者には、研修が多い。学校薬剤師にも参加を促す案内が来る。先日は、そんな研修の一つがあった。
「ダメ、絶対❗」の標語で表される、大麻覚醒剤防止教育の予備知識と学校での授業の行い方の講習である。薬の専門家ではない、ボランティアで、薬物対策指導員になっていらっしゃる保護司さんや警察官出身の方々なども、来ていらっしゃる。学校の先生もいる。そういう人たちには、薬物乱用の生理的ダメージの仕組みを学ぶ機会であり、私たち、授業や講演というものに不馴れなものには、どこをどう教えることが子供たちに最善かを最近の統計や、事例を使って、考えさせてくれる。目的は一つだが、土台の異なる人たちが集まる研修会である。普通の研修とは違う雰囲気が会場に漂っていた。それが面白かった。
 研修会の中味はさておき、会場は大阪歴史博物館、場所に認識がなく、大手前だから、大阪城の近く、府の建物の多い一角と踏んで、京阪天満橋で降りたが、全く案内を見つけられず、行きはタクシーにした。事務的な研修会の申し込み案内には最寄駅も書いてない。府の薬務課主催なので、教員など、府の職員にとって、府の施設は、知っていて当然だったのだろう。まあ、タクシーの運転手さんはすぐに行ってくれたのだが。
 連れていってもらって、驚いた。住所は大手前でも、谷町四丁目で降りる方が近かった。NHKのビルと通路を共有する双子だった。浪花の宮遺跡が、柱などの位置を腰掛けや植え込み、タイルの色分けで、よくわかるように整備されて、公園からこのビルへのアプローチの広場のなっていた。なんだ、そうだったのか、という感じである。NHKには、ついこの間、コープシアターで来たし、谷町四丁目は、府の薬剤師会館の最寄り駅である。都会では、よくあることだと思う。普段、目的の方向以外には目もくれないで、行動しているのだ。
 四時間ほどの研修会、無事終わって、小雨の中を帰った。 こういう行き帰りには、人や街が、俳句を作らせてくれる。「ついで吟行」ができるいい機会なのである。

晴れやかな色取り合わす梅雨の服
梅雨曇軽き携帯傘にする
「いいですか」と急かされてゐる梅雨の駅
中吊りは沿線の夏誘ひけり
涼描き京阪水の路さんぽ
飛石を渡りて加茂の川遊び
白服の目だつ天満やスタバにて
薬物乱用防止研修夏に入る
脹ら脛ピリピリ熱中症らしく
長丁場研修後の梅雨湿り
五月雨るる浪花の宮の柱跡
梅の実のレジ袋より匂ひきて
満員のバスや傘持つ梅雨の日に