高野山 宿坊 三宝院泊


     高野山
         宿坊 三宝院泊
                                    十河 智
紅葉散る親に従ふ子鹿かな
朝寒に行列長き博物館
秋の道正倉院展へと人流れ
鹿群れる餌場の石や薄紅葉
頼りなく子鹿母呼ぶ秋の水
門前の銀杏堂々金色に
秋深し仏像の持つ蝉・蜻蛉
履き物屋高野金剛峯寺の秋
高野山一なる紅葉とふ宿坊
秋暁や勤行を聴く脇廊下
庭紅葉水子地蔵のかくれんぼ
餌をねだる鯉に詫びけり紅葉観る
際立ちて秋明菊はピンクなり
紅葉時宮の名付けし臨紅庭
変哲もなきみやげもの餅うまし
澄む秋の高野名のあるごま豆腐
腰下ろす木の根ありけり秋暑し
高野山下りて奈良に柿を買ふ
秋草や奈良より京都帰路定む
若者に駅ナカの店零余子飯
京阪に乗りて終わりし秋の旅