句帖を拾ふ(2017年12月)

句帖を拾ふ(2017年12月)
     2017/11/30
     十河智

1
十月尽どこかで騒ぐハローウィン
鴉の死オオタカに胸抉らるる
右往左往叫喚鴉凄まじき

主人が、突然、うちの車庫で鴉が死んでいて、ビックリした。と言い出しました。紙袋に入れてにゴミに出したそうです。感染とかではなくオオタカ襲われたようです。そのとき、私は、家の中で、鳥の緊急事態を見ていました。ヒッチコックの映画のように、空中に慌てふためき、泣きわめいていました。そんな景色は初めて見ました。

2

一夜明け一輪落ちぬ冬椿

Camellia branches with bloom arranged in the evening;
At dawn a bloom fell at the foot of the vase

しばらく、このまま眺めます。

3
昨日。婿から届いた写真。そろそろ、お祖母ちゃんは遠くなる。少し前に作った句ですが。

幼さを仕舞ふ頃なり秋の暮

the end of fall ;
the end of the days of immature behaviors
4
表札外す妻を亡くした家の冬
The housewife died ;
The house has no nameplate today in the winter  Tomoko

うちと同じ老夫婦のおうちでした。

5
オフェーリア落冬椿流れゆく
Ophelia;
A blossom of winter camellia dropped and began to float on the river

溝に落椿、つい連想が拡がりました。

5
11月の未発表の句。いろんなことを書ききれなくて、大分残りました。

未発表(2017/11月)

鈴虫も重なり鳴くや広らかに
虫の闇ひとえに聴きてゐるばかり
耳だけを残し融け込む虫の闇
刈田よりまつすぐに立つ煙かな
生駒嶺やすかつと青き秋の晴
青天や桜紅葉に変はる頃
叢雲の海月か繭か草の絮
秋闌(あきたけなわ)また生駒嶺を見つつ行く
すつきりと晴れてはくれぬ野分後
眺望と明石検索牡蠣グラタン
浜と橋たなびく霧の淡路島
巨き船日射しと霧と島影と
バス停の行列秋の淡路島
朝霧や鳴門大橋秋の潮
霧襖海見る山の喫茶室
秋の雲ほんわか鳴門山の中
秋麗海と風車の見える橋
讃岐阿波淡路播磨と山装ふ
紅葉して駅に目を曳くハナミズキ
お掃除で気分転換冬椿
蕾もうひとつ楽しみ長き冬椿
寒菊や支えもなくて地を這へり
凩やあつたかアルミ缶コーヒー
色競ふ見越しの楓紅葉かな
落葉踏み山の学校より下校
紅葉山運転人格試されて
        十河智