にゃらまち猫祭り開催中

にゃらまち猫祭り開催中
       2017/6/4
       十河智

 六月三日、またまた、お誘いを受けたので、奈良町のギャラリーでの小さな展覧会に出掛けた。主人が月一回習っている陶芸教室の助手だった人のご主人が参加している。この画家さんは、抽象的なモチーフでの作品が多いので、案内状が不思議だった。可愛すぎるので、かえって興味が出た。
 定期講読の「俳句」「将棋世界」が来たと、寝屋川TSUTAYAから連絡が入っていたので、ちょっと寄り道、ガソリンも満タンにして、奈良の中心部へは、大阪外環状線から阪奈道路生駒山を越えた。急カーブのある険しい道だが、越えると、真っ直ぐに奈良の真ん中に通じている。奈良ではこの頃平城京跡に近いところの、ごはんやさんが気に入っている。この日もそこで昼食を取った。一日一度は遠出でなくても外に出て人のなかにいるようにしている。お昼御飯かお茶、街中や店の人の動きに刺激を求める。この店は、とても清潔、そして、システムが人に優しい。奈良が観光地だからか、店員に頼んだりもできる、完全なセルフではないところがいい。もう暑い季節、入り口に保健所からのお達しか、夏場の持帰りのお断りが告知してあり、ああ、六月だなあ、と改めて思う。
 好きなので、アレルギーを覚悟で鯖の生寿司、そして冷やし素麺を選ぶ。素麺は三輪素麺、うちは小豆島の「島の光」なので、少し違う。
 近鉄奈良駅に、思いの外、人が多い。猿沢池の横を抜けて、奈良町センター横の駐車場に入れた。車を降りて振り返ると、興福寺五重塔が、青空に映えて、聳えていた。
奈良町センターの前から商店街に入る。にゃらまち猫祭り、というイベントの真っ最中の様で、目的のねこたち五人展も、参加しているのだった。散策している人たちは、それぞれに出たり入ったり、パンフレット片手で、楽しんでいるようだった。道の両方を眺めながら、探しているつもりが、目当てのギャラリーを行きすぎていた。
 知り合いは生憎いなくて、かわいい猫の花の下の絵を見せてもらった。別の作家が、別の観覧者に説明をしていた。やはり猫祭りに合わせた作品を出しているらしい。私たちには、ギャラリーのオーナーが説明してくれた。記名するとそれほどの距離ではないのに、「遠くからありがとう」と言ってくれた。
 そこだけじっくり見せてもらって、帰路についた。また同じ阪奈道路だが、奈良から大阪はルートが違う。帰路は勾配が急なのだ。こちらもダイナミックなドライブが楽しめる道だ。雲がふんわり、浮かんで少しづつ動く。いい気分である。

六月や程よき風が吹く大路
茅花流し平城京へ至る道
佐保川に勢ふものぞ葉桜は
ごはんやに冷素麺を取る日なり
暑き日や食中毒へ注意書
夏の昼和食の店で飲むコーヒー
夏暖簾最徐行して商店街
鹿の子や思ひもかけぬ猫祭り
六月の奈良町アオくんあかりちゃん
猫好きの人にゃらまちに夏つばめ
ダリア咲く西寺林商店街
日盛りや葉書の地図の星印
葭簀にもねこたち五人展の猫
ねこたち展画家の声太アロハシャツ
奈良町の帰路は西日の生駒越え