2018/07/22 毎日新聞科学欄に思うこと

2018/07/12 毎日新聞科学欄に思うこと
       2018/09/12
       十河智

 たまにはこんな記事も紹介したいと切り抜いていた、2018/07/12の、毎日新聞科学欄。災害、夏休み、俳句、いろいろ書くことができて、後回しになってしまった。記事の写真はないが、ここに再録しておきたい。


 今、化学反応や合成は、自然界、特に生物体の中で起こる反応を精査して、遺伝子の一部を利用して蛋白合成、より緩やかなしかし収量の高い酵素等を触媒とする合成、または、この記事のように分子の結合特性から、成り行きで、ならざるを得ない構造物を得る、そういう方式が、主流となりつつあるようで、効率的、かつ省エネルギー的である。
 ナノレベルで、観察可能な時代となったからこそ、原始や分子の結合の力関係を知り尽くした上での成果であろう。そのうえで「勝手に」「自己組織化」する環境を道筋をつけて見つけることができたのだと思う。ここまでできると応用については、普段の視界のレベルと重ね合わせて連想の幅が広がり、考えられることがたくさんあるだろう。
 既に私たちは、野菜のいくつかを工場で土なしで生産しているし、iPS細胞の再生医療への応用も本格化している。
 この写真の構造物は、ナノレベルの工場の棚に見えて仕方がない。
 別のところで、上段にあるようなナノレベルの分子の篭に特別の活性のある基を持たせ、対象物を篭に納めては、反応を一方向に進ませる、そういう研究についても、聞いたことがある。
 わかる、見ることができる、ということは、大きな力だ。今は叱咤激励しないで、見つけてあげて伸ばすという、スポーツ選手の育成のやり方にも、少し私の考えが飛んでいる。偶然なのか、発想の、思考の構造が、そういう結果に繋がるのか。


 横に、パソコンの痕跡を辿ることで、iPS の応用研究の不正論文の証拠を見つけたという記事があった。つい二、三日前、テレビでも特集で、消しても消えないデータの話をしていた。恐ろしいといえば恐ろしいが、歴史の中にほんの一瞬籍を置いただけの自分と思えばそんな心配は無用な気もする。時代の良心に従っていればいいような気がする。