富士見

 所用があって、娘のいる静岡に行った。することを全て済ませ、せっかくの静岡なので、年賀状用に、世界遺産記念に、三保の松原から富士見をし、カメラに納めたかった。雨の日と、晴れの日が、日替わり状態の不安定な気候であったが、運良く、今日はいけるという日になった。
 静岡市内から小一時間ほどのドライブで、三保の松原に着いた。道路は、きれいになっていると娘は言う。松原も、ボランティアが出てゴミ拾いをしたと、少し前に地元テレビが報じていた。駐車場はまだ整備されていなかったが、広かった。
 慣れた人は、カメラをひょいと掛けて、道無き道を上っていくようだったが、私たちは、茶店の前の道を人々について海の方へ向かった。来る途中に見たヨットハーバーから出たヨットが、何艘か裏に浮かんでいた。浦ではあるが、邪魔するもののない広い海ののどかな風景である。
 視線を松林の方へ少しもどすと、本当に、浮世絵で見た構図と同じところに、富士が、浮かんで見えた。少しぼんやりした輪郭で、カメラのモニターでは、写せているかどうかが確認できないくらいであったが、あとでプリントしたものには、富士と松がうまく入っていて、嬉しかった。
 「もし撮れてなければ、富士のサイトから、一つ借りて年賀状作るわ。」というと、娘に「それは、盗作」と一蹴されたので、これで一安心である。
     
     田子の浦ゆ打ち出でんとす冬の波
     冬晴れて三保の松原富士を見る
     天空に冠雪の富士うっすらと