とうとう「女子会」

 関西地区に故郷高松から出てきた高校同窓の少人数の集まりがある。年に二回、正月は食事飲み会、夏か秋には小旅行で、20年ほど世話人にも困らずやってきた。しかし、今年は、世話人に事情があったのか、小旅行の話がなかなか出なかった。
 そこで、すぐに連絡の取れる女子だけで、ほんとに10人以下でも、おいしいものを食べて、温泉に浸かって、夜遅くまでおしゃべりをしないかということになった。旅行好きの人がおいしいものが食べられるということを条件に、行き先は、瀬戸内海の真ん中の赤穂温泉となった。温泉は、戸が開け放たれていて、露天風呂に入らずとも、正面は小豆島、東に明石大橋、西に日生の島々、そして、さざ波の立つ穏やかな瀬戸の海。「温泉には、必ず三度はいる」という人もいたが、私は湯あたりするので一度だけゆっくりと堪能した。最高であった。
 料理人の腕もよかった。決して高い旅館ではないが、赤穂の塩と海のもの、それらがうまく料理され、変化に富んだ献立になっていた。女子はお酒を飲まないので、料理の味も心ゆくまで堪能できた。そして、夜遅くまで、おしゃべり。まあ、そこにいない男子のことから、結婚しない息子や娘の話、退職後の旦那さんの扱い方、話のネタは、つぎつぎと・・・。朝起きてみると、私の嗄れ声、笑う相手も、同じく嗄れて。
 
     思ひ出の断片組みて夜長し
     ゆず味噌や朝湯の後の朝ご飯
     割り勘の小銭掻き寄せ秋の宿