「セレネッラ」【第17号・冬の章】を読む

「セレネッラ」
 【第17号・冬の章】を読む
        2018/12/22
        十河智

LAWSONで、三人も店員さんがやって来て、やっと手に入れた。
 今号から、写真俳句が始まった。写真の切り取り方は、俳句に通じると、常々思っているので、楽しみな企画である。
 全体の印象と好きな一句、写真俳文への感想を述べる。

一期一会 金子 敦
 一句一句の中にある、意外な展開が面白かった。

寒月を揺るがす三三七拍子 

ちくわぶ
 私は残念ながら、ちくわぶの美味しさも、ねちょねちょ食感も知らない。しかし、家族の温かい夕餉の風景が伝わってきた。文の中のコンビニおでんが伏線となり、添えられた俳句の「まだ見えてこぬ」にある味わい深いところを感じた。

ここ 中山奈々

 前号と今号の間で、奈々さんと会って、隣同士で息をしている生身の彼女を体感した。が、またここで句を読むと、不思議な人に戻る。

凩に一切見せぬふくらはぎ

[袋回し]
 写真は、奈々さんのもの。
 居酒屋の壁の手書きのメニュー。この手前のテーブルでは今袋回しに興じている一団がいるのだ。 

守護霊 中島葱男

 今号の六句のテーマを考える。「心」または「芯」ということに行き着いた。

億年を氷のままの水哀し

[カウンター]
 私の関わる薬業界にOTC(over the counter )という売り方による分類がある。全く違う様であるが、この文章を読んでいて、心は同じだと感じている。対面式、ということで伝わる意味は大きい。

《私の写真俳句
お三人の句に連想して。

居酒屋の隅におでんのランチかな
句会への冬の駅ナカ居酒屋は
熱燗やカウンターに我異邦人 十河智