「玻璃の展覧」

「玻璃の展覧」
        2018/13/03
        十河智

「玻璃の展覧」は、とても楽しかった。

 まずは入口で、参加者の編集になる本を二冊買わせていただいた。
 中島葱男さんの主宰するインターネット句会の記念号「丘ふみ游俳倶楽部 百五十号発刊記念句集」。
 そして、葛原りょうさんの編集になる「E+motion 2018」。
 どちらも兼ねてから、読みたいと思っていたが、ネットからの申し込みが億劫で、ついつい後回しになってしまっていたもの、ここで出会えてよかった。私には、現金を受け渡す買い方が一番やり易い。
 中島さんご夫妻によくお相手していただき、親しくなれた。お茶が美味しかった。
 葱男さんの説明が、作品を深く鑑賞させてくれた。
 印象深く思ったのは、玻璃さんの絵の余白、明るい白が目に入った。
 玻璃さんと思われる女の人が髪を靡かせている絵があった。マーガレットか都忘れのような菊の小花が髪の流れに沿ってたくさん置かれていた。素敵な発想で、好きな絵だった。そのことを葱男さんに言うと、「菊」がテーマになっている、作品に、それぞれに、「菊」を潜ませていると、教えてくださった。
 何人かの作家さんが猫を描いておられた。猫の描き方が様々で面白かった。これが猫の色というような毛色でありながら、とても綺麗な猫がいた。口許がふくよかで、なんとも気持ち良さそうな愛嬌ある顔の猫がいた。トゲトゲの毛を逆立てる猫も。猫が好きな私には、どの猫もかわいかった。 布や漆の手工芸品もあり、多彩なものが、一堂に会していて、個性が相和している。何人もの作家の作品がこの和やかな空間に輝きを放っている。囲まれている幸せがおのずから沸き上がる。
 中島さんの手描きの着物の
見事さ。羊服、スケッチもあった。
 その横で淡く薄く揺らめく布の生地と色。
 本の重ねてあるところの壁の大きな菊の花を書いた作品もキャラクターなど隠していて、作者から名前はまだつけてないときいた。
 漆もよかった。中島さんがさまざまな手法を説明して下さって、とてもよく鑑賞することができた。
 片付けが始まり、皆さんお忙しそうになっていたので、おいとました。わざわざ戸口までお送りくださった。
 今度は間違わないように、すぐにタクシーを拾う。電話が使えないので、駅にすぐ着きたかった。
 淀屋橋駅でビルのエレベーターから地階へ降り、喫茶店で一休み。あの二冊の本を開くと、どちらも中身が面白く、最後まで一気に読んでしまった。コーヒーおかわりして二時間。少し遅くなった。

冬暖か色色な猫手の仕事
朗読やバンドネオンも埋み火に
漆職人手になる紋様十二月
冬の菊絵に潜ませるキャラクター
マフラーを結び直して淀屋橋