「熊野概論」谷口智行著を読みました。

「熊野概論」谷口智行著を読みました。
        2018/11/04
        十河智

 「里」の谷口智行さんから贈っていただいていたご著書の「熊野概論」を、読み切った。
 外出のとき、携行して、少しづつ読み進んだ。かなり分厚いが、中は、意外と、初出が連載のようで、短い区切りにまとめられていて、そうしてよい形態の本になっていた。とても読みやすかった。
 どの話もとても奥が深いものを含んでいて、面白かった。特に何かを挙げてなどは、できないほど、どの話にも捨てがたい魅力があった。
 そこに住む人が語る郷土の物語、迫力があり、真実の核心により近づける。満蒙開拓団一揆の記述は、まさにそれであった。
 私たち、よそ者は、ここではあえてそういう言葉で区別しておきたい、この熊野を思うとき、ここを訪れたとき、ここに住む人たちの生きざまに、敬意を示して、山に登り、川を下り、道を歩かなければならない。
 同じ日本人と安易にわかるのではなく、その地域に根ざした信仰心や風習に敬意を見せて、地域に入らなければならない。そのように考えさせられる本であった。
 谷口先生には、一度里の宴に同席させていただいた。そんな薄いご縁のも関わらず、贈っていただき、この本は生涯のなかでも、気づきをもたらしてくれた、とても大事な本となった。