未だに実家?そして、ふるさと

未だに、実家?そして、ふるさと
        2017/12/22
        十河智

 夫と私は香川県高松市で生まれ育った、どちらの両親ももういない。どちらも弟が跡を取り、上が家を出た。それでも、たまには帰省する。
 私には、いつもは欠席投句しかできない高松句会への出席も、目的のひとつである。句会がある第一土曜日を含めた日程がいつものことになっている。
 一ヶ月前にも、夫の姪に第二子ができたお祝いに行った。句会にも出席でき、姪も退院していて、赤ちゃんを抱かせて貰えた。もうすぐ四歳になるお姉ちゃんは、状況把握がまだできかねているようだった。退屈しないように、買ってもらった化粧道具のおもちゃは、全て使える本物志向、今時のおもちゃは凄すぎる。
 私の弟の嫁は、幼い頃からの親い家の娘なので、親がいなくなってから、宿は、いつも私の゛実家゛になっている。
 弟らももう高齢者、家の整理を少しずつしている様で、どちらに行っても、私たちの若いときの忘れ物や親の思い出の品が出てきたと、渡される。例えば夫の大学時代のバッジやペナント、本人もいつのものやら思い出せない。
 私には、弟嫁から今回、母の編み残し、解いた毛糸が袋いっぱい手渡された。といっても、一握りほどの毛糸だまばかりである。行った時期は、ちょうど寒い日が続いて、持っていった薄めの服を重ねてやっと凌いでいた。冬になると、よく毛糸のチョーカーを作り首に巻き、重宝する。早速に、洋裁が本職の嫁に釦を一個もらい、かぎ針を借りて、この毛糸の袋の中から適当に選んで、チョーカーを編んだ。暖かい。
  
編まんかな母の残せる毛糸玉
朝寒や旅の衣をあるかぎり
ちよちよちよいとチヨーカーを編む冬隣
存外に嬰のかるきや灯火親し
湯上りの嬰児の欠伸冬支度
嬰の姉母を離れず秋の宵
姉となりまだ五日目や秋愁
秋灯や幼女の化粧道具箱