第3回北河内糖尿病チーム医療研究会

第3回北河内糖尿病チーム医療研究会
       2017/10/16
       十河智

 近頃はあまり研修会には参加しないのだが、テーマが糖尿病だったので、10月14日にあった、第3回北河内糖尿病チーム医療研究会を聴きに行った。身内に糖尿病予備軍がいることなどから、糖尿病治療の現状を知りたかったし、薬局開局当時からチーム医療がうまく回り、薬局薬剤師も相応の役割分担が担える時代が早く来ればと思っていた。多くのパラメディカルの方々の発表にも期待があった。そんなこんなで、この研究会に参加したのだった。
 関西医大枚方病院は、比較的新しく、初めて入る。地域の研究会で土曜日なので、午後3寺から3時間、最高階の13階の講堂であった。帰るときは、もう明かりがつく頃であったが、この階からの枚方の夜景もかなりきれいだった。
 関西医大の3病院、小松病院、松下記念病院のどこも、私の薬局で処方箋を受け取っていた、ほんとに地域の中心的な病院の集まりである。こうしてひとつの話題について、連携して、また継続して、研究会をもうけているのだと、改めて時代を感じ、ジンと来るものがあった。
 基調講演は、
 最近の糖尿病治療の目指すところが、少し変化していること、薬物治療も、その変化に見合う薬が使われるようになっていることなどが述べられた。
 一般演題では、
1 糖尿病療養指導士とか、健康運動指導士、という私には耳馴れない資格の方のメディカルフィットネス実践、継続して自分でもできるプランを教える。必要な人に来てもらいたいが、費用などで中断する。
2 行政の重症化予防のための取り組みでの糖尿病予備軍発見と受診、治療開始の呼び掛け、強い勧告。
3 訪問看護ステーションのスタッフによる認知症のある患者へのインスリン管理、その際、家族との認知症の程度の認識のギャップがあり、十分コミュニケーションを重ねて、患者が適正に治療を続けられるよう、努力がいったとのこと。4 診察時検査結果を踏まえての、継続栄養指導の効果。担当の栄養士ではなく、入れ替わるので、記録して、共有。
5 かかりつけ薬剤師による、患者さんへの聞き取りから、検査結果を見せてもらい解析する、検討し、薬局でのリスク察知、担当の医師へのフィードバック。医師からの質問。その時、医師から返る報告はあるのかという質問に、リスクの可能性をお知らせするもので、その後も患者さんとお話しすると医師もその点に気を付けてもらえるようになったことがわかる。この点は緊急性を要する疑義照会とは異なる。疑義照会は返事が来るまで調剤しない、と答えていた。
6 病院薬剤師の糖尿病教室での患者さんの質問と回答
 質問とそれに対する真摯な回答、悩む患者さんの相談しやすい薬剤師であろうとする、私も目指してきた道を歩いてくれている。

 特別講演は、岡山済生会総合病院の中塔辰明先生。「糖尿病診療におけるチーム医療~チームで取り組む患者教育」
 「チームで」というのの中に、医療側の専門家が作るチームだけでなく、患者さんと専門家の交流勉強会のような楽しく記憶に残る講習会を紹介してくださった。血糖測定を前後に行うバイキング方式のお食事やお茶の会、意見交換を紙に書いていきテーブルを席替えしていく、見合いのような講習会。
 先生は、世界的にも活躍されていて、日本での実践を各地で広めていらっしゃる。タイでは、そのつもりで行ったところで、逆に現地のスタッフさんの熱心さに驚いたと、スライドで見せてくださった。糖尿病の患者さんは増え続けているという、世界の数字も。治療薬が開発されても、糖尿病の治療には、患者さんのさじ加減(食事や生活習慣)が、大きく関わるので、仲間がいる方が頑張れると言われた。
医療者のいわゆるチーム医療については、単に中心の患者さんに多くの専門家が各別々に繋がるだけでは、煩がられるし、面倒がられる。患者さんに対し、丸く包み込むように手を繋ぐ図を示された。チームとしての、認識の共有のためのカンファランスは、必要と強調された。
多くの専門家が関わるにつけ、患者さんの気持ちの負担についても、考慮が必要なのだ。かなりペースの早い密な内容であったが、とても面白かった。