ママ友の広島焼きパーティー

ママ友の広島焼きパーティー
        2017/10/04
        十河智

 つい先日、もとはご近所さんのママ友6人のグループが、5年前まで私のやっていた薬局の仕舞い店舗の二階で、広島焼パーティーを楽しんだ。
 私が薬局を始めた二十年前からは、各自宅を廻っていたこの会をこの場所に決めて、気楽に楽しもうと、かれこれ三十年、広島焼きを美味しく焼いてくれるひとりの友人が、三、四ヶ月おきに声をかけてくれ、続いているのだ。
 もともとは、ご近所でも、人生は色々、浮き沈みも、人に言えぬ苦労も抱えている、それぞれが、他愛ない話と広島焼きを楽しみに集まる。地域からやむを得ず出ていった人の事情も、ご近所ゆえに耳に入るし、嫁・姑の軋轢がやっと終わった話も知っているが、本人が話し出すまでは聞かない。いつもいつも心配しあう仲間というわけでもないが、続いている、癒しの会である。今回は、主催の人に、手術や火傷というハプニングがあったようで、約八ヶ月ぶりであった。見た目、元通りに回復していたが、見せてくれた火傷は相当ひどいようだった。
 余りのおたふくソース、青のり、花鰹などは、冷蔵庫に、お持ち帰り用の紙皿も置いておける。食器は備えてあるので、材料だけ買ってきてくれる。
 私は少し早めに行き、六人がけのテーブルの用意、といっても新聞紙を敷く程度。住んでいないので気楽である。一人ずつ、増えていく。酎ハイ、お菓子、リンゴを切ったもの、手作りの小物、旅行のおみやげ、いろいろテーブルが賑やかになっていく。
 年を取るにつれ、三枚が、二枚、一枚と減っていった。お持ち帰り用も少なくなっていく。夫婦だけになったところが多いのだ。しかし話は何せ女三人の倍なのだから、11時過ぎから5時くらいまで、あっという間に
時が過ぎる。暗くなる前に帰らなければと、お開きの時間も早めになった。
 皆が帰ったその後七時くらいまで、やはり普段使わないところなので、私は、窓を解放して、においを外に逃がし、食器をもとの場所には納めて、帰宅する。この会も、いつまで続けられるだろうか、終わるといつもそう思う。

秋一日さ広島焼き三昧で
浮き沈みありし色なき風の中
天高しそれぞれ語る八か月
足手術油火傷もカンナ咲く
ご主人のご病気いかが茸汁
酒おかき巨峰とゼリーいろいろと
キズ多きホットプレート火の恋し
レシートの印の赤や林檎置く
夕月夜散会早くなりにけり
釣瓶落としここには置けぬゴミ袋
自転車が一番池の辺りの彼岸花
また戻る二人の家の秋思かな