季語と時代、麦笛句会の一日

季語と時代、麦笛句会の一日
      2017/7/23
十河智

今月の麦笛句会に出した句です。
〇が一点です

八重葎仕方なく撒く除草剤
茂り既に払はれ更地二戸分に
新品種ダンスパーティなるアヂサヰ
枝ものとグラジオラスの白すうつと
〇けふ空にクヂラ発見梅雨晴れ間

[白][虫干]
〇はんなりとまたきりりしやん夏は白
〇〇夕立に白衣着たまま濡れるまま
真っ白の大看板や揚羽蝶
〇土用干身丈の合はぬ母のも
三階に娘の残す服風入れる

 麦笛句会は、欠席投句も含めると15人くらいの句会。年齢層も30代から80代まで分散していて、句会の後、また自選五句を抽出して、四人の選者に見てもらい、句会報として、帰ってきます。句会での選、選者それぞれの選に、集中やばらつきが生じ、俳句がとても面白く思います。
 中心は「青」にいた爽波の弟子の方たちで、そこに「ゆう」の仲間が交ざっています。私は「青」は知らないのですが、句を通じて知る爽波さんの裏話や指導の厳しさを皆さんよくお話しくださいます。その辺も面白いところです。このときの句会では、季題に留まるな、季語の説明に終わるな、と教えられたと、選に採られるものに違和感を覚えることが多々あると、ある年配の方からの意見が出て、爽波さんのお話を沢山聞けました。写生句ではあるのですが、一工夫、一発見の努力があり、弟子たちもそれを目指したと、思い出話。聞かせてもらう私たちにもいいお話ばかり。ただ、若い方たちは、季語の背景を想像できないくらい変容を遂げた時代に、暮らしています。彼等が感動する観点が、私たち、昭和世代の当然と思うこととズレがあって、それは仕方がないことかなというのも、その場で感じた私の感想でした。
 結論などはありません。しかし、時に深く考えさせられる句会です。