熱中症日和の一日

熱中症日和の一日
      2017/7/13
      十河智

 今少々熱中症気味である。かかりつけ医に行った。水を受け付けず、頭痛がして、食欲もなくなりつつあったので、点滴で水分を補って貰うためである。大分楽になった。
 学校薬剤師として、授業中のプールで、まんべんなく遊離残留塩素濃度が保たれているか、大腸菌群に汚染されていないか、プールの環境衛生は良いか、そんな検査をする日が
熱中症日和だった。十分に備えていたつもりだったが、やはり暑さに負けた。
 朝の一、ニ時限の一年生の授業だった。プールも泳ぐ人でかき混ぜられれば、採る場所でそれほど結果に差が出るものではないが、事故を防ぐために授業中は水を循環させないことが多い。一年生は泳げない子も多い。そんなこんなが要因であろう、プールの塩素剤を投げ入れた位置と対角線に中央、反対側と遊離残留塩素濃度が薄くなっていく。濃い部分もあるので、授業のないときに循環装置を稼働させて均一化した方がいいと助言した。
 子供たち、主に見学の子達が、簡単な比色検査なのだが、興味を持って見てくれる。こういう機会が、町の化学者である薬剤師の仕事の紹介にもなる。
 学校から帰ろうとすると、玄関口のコンクリート上に、少し大きい子が座って絵を描いている。そこで構図をとったために、動けずに熱い目をしているらしい。養護の先生が声を掛けていた。
 大腸菌群の試料を培養するために、また薬剤師会に運ぶ。薬剤師会の事務の人とは、こういうときにしか会わないが、長年になると、かなり親しくなる。お世話になっている。その人がたまたま今日で、有休消化の後、辞めるという。私に挨拶できて良かったと、言ってくれる。子育ても終わったので、あまり年を取らない内に辞めるという。次の人は若いお友だちを紹介したという。居心地は良かったと思ってくれた証だ。皆、子育ても家事もしながら、働きたくもあるのだ。
 この学校のプールは全体として基準を満たしていて、問題なかった。
 明日、もう一つの担当校に行く。
 合間に、俳句を作る。

夏の天広き田畑とビル一棟
嬉々としてプール授業は一時限
プール掻き回す力の足りぬ足
日盛に座り続けて絵を描く
盆までと退職告げる事務の人