麻酔が効きにくい私

麻酔が効きにくい私
       2017/6/22  
       十河智

 歯科に掛かっていると、麻酔の必要なときがある。昨日もそんな治療が行われた。新たにブリッジとなる土台の歯が古い金属を取ってみると、ヒビが入って割れているという。そのままではいけないので、割れている小片部分を抜くことになった。歯科の先生にしても、想定外だったと思われる。
 少し前の治療時には、麻酔薬が効きにくいこと、時間をかけて効くのを待ってほしいと、昔麻酔薬が直ぐに効かず、先生が追加したらしく、治療後に効きすぎて、しばらく歩くこともできなくなり、一時間程長椅子で横になってしまったことを申告したので、注射後二十分くらい待ってくれた。それでその時は何事もうまく済んだ。
 今回は、同じ話もと思い、効きにくいとだけ告げた。手順通りだったのだろうが、注射後に反応を見て、「追加しますね」とあっという間に第二弾が注入された。歯科では口を開けたまま、自由にものを言える状態ではなく、進む。痛くもなく、抜いた歯の断片も見せてもらい、仮歯を被せてもらって、「今日はこれで終わり」と診察台を降りた。
 大荒れの梅雨の嵐は去っていて、いい天気だった。また奈良へでもと、府県境のトンネルを抜けたが、口回りや腕が痺れてきた。運転する主人に言って、帰ってもらった。肩から上が重苦しく怠い。大昔のあの時ほどではないが、効いてきたのだ。患者から上手に伝えるのは、難しい。家に帰って、横になり、暫くしたら寝ていた。どうということもないこういうこともあります、くらいのことではあるが、気をつけなければ。運転していればと思うと怖い。

夏至の夜歯科の予約が光りけり
木下闇支へなる歯が割れゐたる
抜歯前麻酔効かす間百合の花
麻酔薬後れて痺れさくらん
レースカーテン怠き体を横たへぬ