キャンプ場の災難、虫に注意‼

キャンプ場の災難、虫に注意‼

        2017/6/20
       十河智


「みなこ先生、うちの子寝ないで、まだゲーム止めません。」突然、夜九時にこんな電話がかかる。明らかに娘の声で。まだそんな手が通用する下の子を寝に行かせるためらしいが、こちらは、オレオレではないが、状況を把握するのに手間取ってしまう。向こうで、みなこ先生がもう寝なさいって言ってるよ、とかなんとか、子供に言う声が聞こえる。小学校に上がったが、幼稚園の時の大好きな先生にはよく思われたいらしく、効果があるようだ。
 下の子が寝床に落ち着いたらしいので、用件は終わりといつもなら電話を切るところで、もうひとつ聞くことがあると、キャンプ場で、上の子が何か虫に刺されて、足の甲が歩きにくいほど腫れ上がっていると言う。おばあちゃんにしてみれば、こっちの方が先だろうと思われるのだが。
 刺された直後には言わなかったらしく、既に時間が経っていたが、痛さや痒みは無いらしい。蟻の可能性が一番だと言う。今、神戸で話題になっている火蟻程ではないにしても、そのままでは腫れが広がる可能性もある。昔友人が蜂に刺されて腕から顔の辺りまで腫れ上がってしまった姿を見たことがあり、やはり手当てが必要と言ってやった。手持ちのステロイド抗生物質入りの軟膏があると言うので、「それを多めに塗って明日も引かないようなら病院に」と言って、ひとまず電話を切ったが、話の内容が、どうもアレルギー反応現在進行形で、かなり気になった。アレルギーを抑える薬を飲ましておいた方がいいと、もう一度こちらから電話した。寝る前の方が、安眠も得られると思ったのだ。家には、風邪薬も鼻炎薬も、抗ヒスタミン製剤の入ったものはないと言う。まだ救急外来が間に合う時間のようで、連れていくとあと三十分のところで駆け込んでいった。
 一時間後に報告があった。軟膏は同じものをもらい、抗ヒスタミン剤も貰ったので、飲ませてもう寝ていると言う。救急なので、翌日引かなければ、病院へという指示だったそうだが、その後は、連絡してこない。多分おさまったのだろう。そしてまた新たに、男の子二人と格闘中なのだろう。

 
緑陰にバドミントンの羽根白し
キャンプ場やはり欠かさぬソーセージ
山道を駆ける素足にゴム草履
山蟻に咬まれたりしか紅く腫れ
夏の宵救急外来間に合ひぬ