タイより帰還した友人の娘

タイより帰還した友人の娘
           2017/05/12
           十河 智

 隣の芝生は青いということはよくある。友人の三人いる娘の二人目、次女がとてもよくできていて羨ましく思うことしきりである。こんなことを書くと娘からFacebook禁止と言われそうだが、この親子の関係は最高にいいのだ。どう言えばいいのだろうか。まずよく動く、よく働く、親に気遣いさせない。他の人間関係と同じで、親子にもぴったりはまる相性というものがあるとしか思えないほどに、見ていてこの母と娘は相性が良いと思う。
この七年間くらい、娘さん夫婦は、タイ在住であった。昔から、企業で海外勤務をすると、附いていく家族は大変である。タイでは、この間ニュースになるような、ストがあり、暴動やテロもあり、洪水もあった。友人は、インターネットを始めた時は、私が教えていたが、海外に娘をやってから心配でたまらず、必要に迫られて、スカイプやメール、インターネットでの買いものなど、会得していき、今では自在である。娘は帰国の間際に、タイから日本のアマゾンに注文し、届け先は実家、スカイプでそのことを伝え、実家に帰ってから受け取り、荷物としてタイに持ち帰るのだそうである。タイで日本品...を買おうとするととても高いらしい。実にあざやかにうまく工夫して、タイで暮らしている感じであった。孫と祖父母との交流もスカイプで、帰国しても他の孫と変わらず、親しく甘えてくれるそうだ。
友人も何回かタイにも行き、タイで知り合いになった人達も何回か家に招いたという。娘さんのタイでの生活が、平穏で、友達付き合いが現地の人ともできていたと言うことなのだろう。タイ人の先生について、好きな手芸の幅を広げるために、ビーズを使うマクラメ結び手芸など習ってきたという。タイ料理も習いに行ったという。タイでは、日本では考えられないくらい広く大きな家に住めたらしいが、今度帰ってきて、もとのマンションに住むことになって、掃除が楽すぎて暇をもてあますと、それが愚痴になるくらい、綺麗に暮らしていたという。
この四月の孫の進級に合わせて帰国した友人の娘は、七年間倉庫に預けていたものを全て処分しないといけなかったらしい、道具は使わないとダメになるようだ。人に貸していたマンションも帰国に間に合うようにリホームして、七年間の留守はかなり大変な労力で再開しなければならなかったようである。
親の近くに帰り、子供達も学校が始まり、一段落した頃、私はその娘と再会できた。目の覚めるような、青い色のスカート、タイで買った物だという。今は、母親と、夕方の運動がてらの散歩や、家庭菜園での野菜作りもしているが、時間をもてあましているという。菜園では、タイ料理のためのハーブも植えたらしい。もうすこししたら、なにか仕事を探すという。どんな仕事、と聞くと、体力を使う仕事、と応える。
タイでかって持って帰ってきたタイシルクの生地を見せてくれた。それを、友人の持っているシルクの巻きスカートと同じに仕立てるつもりという。友人がその巻きスカートも持ってきて見せてくれる。私はその仲の良い母と娘に、できあがりを着て並んで見せてとお願いして、その家を辞した。

 タイの色夏のスカッと光る青
夏に入るタイより帰国して退屈
五月晴れ運動しやうパートに出やう
夏野菜タイの料理に使ふ用
前タイ支社長夫人の目に青葉
タイシルク夏のスカートお揃ひに
麦わら帽子母娘畑でタイ野菜