坂口裕子・藤田卓也デュオ・リサイタル

坂口裕子・藤田卓也デュオ・リサイタル
             2017/4/16
             十河智

 四月十五日、歌曲のコンサートに行った。兵庫県川西市、といっても淀川を渡り、茨木、吹田、豊中池田と万博公園沿いに抜けると寝屋川から30キロちょっとの県府境近くであった。会館に駐車場はなかったが、運よくすぐ前にタイムス一台分が空いていた。
 いつもはその人のピアノを聞きに行く有馬みどりさんが友人のオペラ歌手、坂口裕子さんが藤田卓也さんと行う川西市みつなかホールでのデュオ・リサイタルに招待してくださり、本格的なオペラの歌曲を満喫した。坂口裕子さんは、みどりさんによると、イタリアで勉強中に知り合った古くからのお友だちで、このみつなかホールで、日本でのデビューを果たし、今は世界で御活躍、藤原歌劇団の団員でもいらっしゃるという。
 舞台の構成は、オペレッタあり、同じ楽曲の歌をピアノ曲に編曲したものを比べ聞く仕掛けもあり、舞台から客席に降りる演出とユーモアのあるおしゃべりがあり、充実していた。
 みつなかホールも、市民文化会館として、市民の憩いを提供する場所であるようで、場馴れた観客が多いようであった。待つ間も和気あいあいとした雰囲気があった。
 みどりさんご自身のコンサートでは終った後は慌ただしく、ゆっくりとお話しすることはほとんどなかったが、このコンサートの後は、私たち夫婦と三人で、お茶の時間を持った。亡くなられた私たちと同窓のお母さまのこと、高校時代の音楽の先生の話、みどりさんの思い出に少し足してあげることができた。

のどけしや市民音楽ホールなる
春雨やオペレッタ「蟻とキリギリス」
春の声オペラ歌曲の耳馴れぬ
春惜しむ悲劇のアリア響きけり
客席は春の陽気や拍手沸く
麗らかに見せ場切り取る二重唱
春昼の観客席にピアニスト
夕おぼろ亡き人のこと語り合ふ