今日はいい日 早めのX’mas ティータイムコンサート
今日はいい日
早めのX’mas ティータイムコンサート
2015/12/06
今日はいい日と思う一日がどれほどあるだろうか。急に寒くなり、慌ててコートを引っ張り出すような朝であったのに、今は、うきうき気分で、家に帰るバスに乗っている。
案内の何行かの文面だけを見れば、マンションの一階のごくありふれた喫茶店で、若い演奏家である。音楽は好きなので、機会があればどんなジャンルであっても、逃さず行く方であるのだが、本当に期待していなかった。会場は、30人ほどでいっぱいになっていた。ピアノはアップライトで演奏者と聴き手の間がかなり近い。いい環境ではないコンサートである。
しかし、用意されたプログラムで、選曲がユニークだなと思った。
演奏が始まった。30歳になるかならぬかの若い女性のヴァイオリニストとピアニスト、しかし、実力がありそうな経歴が紹介された。親しみやすいクラッシクの小曲と、本格的なヴァイオリンソロが2曲、ピアノとのデュオが2曲、最後は、カーペンターズとか映画の主題曲、だんだんに緊張感に引き込まれて行く構成だが、ちゃんと、解放というか、解きほぐしてくれるのである。
特に2曲のヴァイオリンソロは、よかった。
ヴィヴァルディの「四季」の「冬」より2楽章、今日のこの気候に合っていて、外は雪降るぐらい寒くても部屋の暖炉の暖かさの中にいるその気分を味わってと解説されたとおりの気分で、ヴァイオリンの暖かい音色の中に包まれていった。そして、ティータイムと、ハンガリー舞曲やユーモレスクの小品を挟んで、バルトークの無伴奏ヴァイオリンソナタより、ハンガリーの地方の民謡を研究し、その要素を取り入れた曲であるとの解説であったが、独特な演奏技法が間近にみられて、紡ぎ出される音も、メロディも、とても耳に新しく、不思議なものであった。ヴァイオリニストも、初めての演奏であったらしいが、聴き手の私たちは、圧倒されるほどに、曲に引き込まれ、浸りきってしまった。この緊張の後に聴く、ムーンリバーやトップオブザワールドが、いかに懐かしくほっとさせられるものであったかを想像していただきたい。
演奏者をご紹介すると、ヴァイオリニストは、伊東真奈さん、ピアニストは和田真理子さんである。会場について、伊東さんは、漆喰の壁と、厚い木のテーブルと調度品が、よい効果をもたらし、悪くなかったといっていた。
コーヒーとケーキもおいしかったし、企画してくださった会長さんには、またの機会をお願いして、会場を出たのである。乗るべきバスに追い越され、次のを待つことになっても、とてもいい気分であった。
ヴィバルディ四季冬の章12月
バルトークヴァイオリンの音の凍みにけり
バッハ弾きかつカーペンターズクリスマス
冬ぬくし二人の若き音楽家