直島へ

直島へ
          2014年10月
                              十河 智
 島の秋
        そして美術館巡り
秋晴の島の港にフェリー着き
モモよモモ同行二人瀬戸は秋     (モモ:急がず生きる女の子)
バス停に木椅子ありけり小鳥来る
青い空青い自転車秋日差              (外国人の女の子が颯爽と)
爽やかや美術館から美術館
この島に半世紀ぶり秋の浜              (子供の頃来た海水浴場)
秋うらら英語を話すドライバー
秋夕焼積木置くかに瀬戸の島
秋寒の小糠雨降る外の湯屋
酒量少し減りたる夜長談義かな
大広間四人残されそぞろ寒
秋霖やカボチャアートのある港            (草間彌生作)

   栗林公園
     そして高松市街案内
弟は大男なり菊花展
色変へぬ松夜の雨上がりけり
昼休終えし一団松手入
日暮亭裏の小道や石蕗の花
松手入視線に慣れてゐるらしき
桜紅葉そして威風の松の道
茶室より和船浮く池初紅葉
秋の声池を巡りて船着きぬ
青鷺の大きな一歩秋澄めり
姫嫁して五葉の松は色変へず         
さぬきうどん手順通りに秋の昼
琴電栗林駅や秋の蝶
秋草の町裏をゆく電車かな
案内の足追ひつかず秋の街
あとひとつ旅の終りに城の秋          (玉藻城、あるいは、高松城