いつもの年越し、雪とインフルエンザ

   娘一家には、主人の胃がん発見・切除・そして抗がん剤治療と術後の食事での通過障害の克服、人生の一大事、そして孫たちの入学と入園という節目、去年は、それなりに忘れ得ぬ年となった。ひとつずつ乗り越え、ひとつずつこなして、 私たちも寄り添い、ようやく年を越そうとしていた。
  予定では、28日に帰省し,5日までいることになっていた。ところが、学期終わりごろ、まず一年生がインフルエンザらしいと言ってきた。まずい、下の子も感染る!ワクチンは、早くに接種済みだった.。一家が、順番にり患していった。娘が、日程のこともあり、逐一、報告してくる。「小児科へ行った、」「休日急病診療所へ行った。」「熱が40度を超えた。」「下がった。」「子供は、もう暴れだした。」「次は私が、かかった、タミフルだった。あまり効かない。熱は下がるが、頭が痛い。幻覚がある。花弁が一面に舞い落ちるが、一枚一枚に痛いボタンがついていて押せ押せという。筋肉痛と寒気が続く。」「次は旦那さん、イナビルだった。主治医に連絡してから使ったが、よく効いた。」
  こうして娘の家族は、30日に車でやってきた。一家からインフルエンザウイルスが、まだ遠ざかり切れていないその日のうちにやってきた。その日の夕方、ひらかたパークのイルミネーションを見せたかったので、孫たちを引き連れて、寒波到来中の外気の中を散策し、観覧車にも乗せた。「黒田官兵衛」の最終回も見逃すのに、関西ローカルでひらパー兄さん岡田准一ひらパー百万人動員計画が挫折しそうという報道に乗せられて、ひらパー初のイルミネーション展示がどんなものかと興味も湧いて、私自身かなり、行ってみたかったのだ。LEDの照明は、華やかだが、少し冷たい感じだった。途中、こどもたちに手袋を買ってやったが、本当に寒かった。帰路にある流行りのハワイアンレストランでパンケーキを食べさせた。多いから別のにしなさいという忠告を聞かず、一年生は、五枚の、フルーツ盛というものにするので、大人たちが調節、コーヒーだけにしておいた。満足のいく一日となった。孫達にやってやりたい事が、すべて出来た。
  大晦日は、娘一家は高槻であった。婿の実家に、兄弟も来ているという。晦日そばは鶏がらだしのしっぽくで、半日かける。しかし、食べる人は、二人、私たち夫婦だけ。みんなには、正月明けに食べさせよう。せっかく作るのに、精が出ない。ゆっくりと紅白歌合戦を見て、おせちのお取り寄せを受け取り、手作りすべきを仕上げていった。家庭で作る煮しめは、婿の実家や、故郷で久しぶりに会う幼馴染との会食で忙しい若い二人には、もう一つ好評ではなく、迎える方も控えて用意した。少人数家族用でホテルのおせち料理があったので、31日に届くものを頼み、手作りは、数の子、自慢の田作りと煮しめの物、そして、孫たちに、だし巻き卵をお重一段いっぱいに、あとは、袋から出す出来合いのもので二段を埋めた。
  娘たちは、寝具の関係で、必ず帰ってくるのに、帰宅が遅かった。外は、いつの間にか、雪が積もるほど、降っていた。橋も坂もある、雪道の車は心配であった。高槻に行ったときは、普段は遠慮があり、あまり電話はしないのだが、その夜は、携帯に電話を入れた。橋は、渡っていたが、ゆっくりしか進めないという。枚方までに、スリップ事故を何件か見たという。十一時頃、帰り着いた。
  正月元旦の祝いの雑煮は、ふるさと香川から送ってもらった白みそ、餡餅で作る。一年生が、聞く。「百科事典に、あるところでは、白みそじたてで、餡餅のお雑煮なんだって。どこか知ってる?答えて言ってやる、ここ!!うちのこと!!えぇ、ここ!!毎年食べさせているのに、やっとわかったようだ。「ここ」とは、大阪ではなく、十河さんち、ルーツは、香川と分かっているのだろうか、心配だ。雪の元旦は、子供達、大阪も、静岡も暖かく、雪が今は珍しいので、とても喜んだ。高槻では、いとこ達と、寝屋川では、二人で、雪遊びを存分に楽しんだ様だ。両親は、静岡まで、順調に帰る事ができるか、天気予報を何度も確認し、少し、悲観的になっていた。
  二日まで、寝屋川と高槻へと行ったりきたり、雪も上がり、予定通りの行動ができたようで、三日の朝、娘一家は、帰って行った。雪には、あまり邪魔されなかったらしいが、Uターンラッシュと、前日までの通行止めなどの影響はあったらしく、かなり、時間がかかった様だ。
 そして、私に、異変が起き始めた。インフルエンザだった。今年のワクチンは、ほんとうに合っていない。そして、インフルエンザの症状もきつい。二日遅れで主人が震えだした。そして、十日の現在まで、家から一歩も出ていない。おせちがあったし、お餅があって、助かった。多分、娘一家の置き土産だったろう、しかし、近畿でも流行りだしたので、ひらパーかもしれない。

 
    底冷えの夜の遊園地輝かす
    電飾の桜冷たき五弁かな
    数へ日や孫と乗りたる観覧車
    年の内この頃流行るパンケーキ
    少しだけ煮染め我が手で大晦日
    袋より出す黒豆を年送る
    淀川の向こうに婚家雪積む日
    お年玉はや一年生幼稚園
    元旦の孫の嬉しき雪合戦
    電車バス帰りは歩く初詣
    坂道の雪すでに融け初参り
    流感を置いて帰りぬ孫たちは