句帳を拾ふ(2018/04)
句帳を拾ふ(2018/04)
2018/03/01
十河智
1
春の月淀川に来てのんびりと
Spring moon ;
I am relaxing on Yodo River
蕪村の月です。
2
春の月この世に未だ物思ひ
Spring moon;
I am yet deep in thought on earth
3
春三日月友は儚くなりしとふ
Spring crescent moon ;
I heard the end of a fragile life of my freind
4
経験のなきほどといふ春の雪
Spring snow;
A never-experienced snowfall, the weather forecast says
5
町全てたちまち埋る春の雪
Spring snow;
The whole country buried white in a flash
6
春の雪百年振りの南の地
Spring snow;
For the first time in a hundred years in the southmost point
(加東大助という俳優がいた。「南の島に雪が降る」という映画があった。その事を思い出させてくれた。)
7
今日は春らしい天気になりました。少し庭を見て廻りました。
庭の河津桜が満開です。ハッサクの衰え著しく、実がつきませんでした。昨日までの梅の花は春疾風で散ってしまいました。あじさいの芽が出ています。金柑年よりは坂が危なくて、届く範囲の収穫、後は、鳥達にあげます。
梅の花けふ二三輪残るのみ
軽やかに河津桜の咲きにける
啓蟄やハッサクの木は死に体に
あじさいの芽立ちの緑まだ固し
金柑を春の斜面に採り残し
8
春の水流れるカノンニ長調
今、天王寺の大阪市立美術館へ日展を見に行く途中。カーステレオからランダムに流れ来る音楽が気持ちいい。その一曲の感じを句に。あっ、ビートルズに変わった。
9
春昼や芝生広場に人いつぱい
天王寺公園に着いた。びっくりするほどの人。今日は平日、水曜日。
10
梅の花麗人去りしかのやうに
the ume blossoms fell off;
as if a beauty with lingering smell left the place Tomoko
白梅が散ってしまいました。梅は香りと残像を残す気がします。
11
梅の花閑に明けて暮れにけり
ume blossom;
day in and day out quietly
白梅や片隅にあり艶めける
ume blossom;
lustrous white in a corner of garden
12
花の雲背割堤に棚引きて
A trail of clouds of cherry blossoms;
Sewari-bank between rivers Kizu and Uji
京都八幡の背割堤の桜、岩清水八幡宮の近くです。
13
大橋や紛ふことなき花の川
Large bridge;
Indeed cherry blossoms fill the river
延延と圧巻なるや堤の桜
Cherry blossoms on the bank;
An absolute intensity of endless cherry pink